2013

2013年度 建築設計製図第四  設計統合スタジオ
Adaptive Morphology
隈研吾 & 小渕祐介
佐藤淳(構造)前真之(環境)加藤耕一(歴史)北垣亮馬(材料)
講師:豊田啓介、 市川創太、カズ米田

助教:中村航、木内俊彦、成瀬友梨
Digital サポート:木内俊克 & 杉田宗(G30 コースアシスタント)
Rhino/Grasshopper TA:  3 名

“We don’t invent a new architecture every Monday morning.” Ludwig Mies van der Rohe

はじめに
統合プロセスとしての建築設計
建物の生産は複雑なプロセスである。それはどんなに小さくても、空間的、技術的、歴史的、文化的、社会的、政治的、経済的など、多数の問題を考慮し、それらを最もふさわしい形で統合しなければならない。このプロセスがデザインと呼ばれるものである。つまりデザインとは、対処すべき様々なパラメーターを考慮しながら、アイディアとコンセプトを組織化し、具体化することに他ならない。
このような統合プロセスとしてのデザインという考えのもと、このスタジオでは、敷地・プログラム・クライアントといった与条件から形を模索する従来のやり方とは異なったアプローチを提案する。それは、敷地やプログラムを考慮するより先に、デザインのツール、プロセス、そしてテクニックの研究を行い、それを応用することによって、パラメーターとして与えられる諸問題を統合=デザインするという方法である。しかし、このような方法は、これまでの学期で学んだことを否定するものでは全くない。それはむしろ、建築を生み出す手続き的・分析的な論理を理解することによって、これまで取り組んできた一連の設計演習を総合することを可能にするものである。

建築と情報
このスタジオプロジェクトの目的は、形と空間の個人的表現を追求するのではなく、情報のネットワークとマネージメントを通じて建築をデザインすることである。このようなデザインプロセスにおいては、建築の訓練は、 建築学の学問的背景と知識を理解し、これまでつくられてきた建築を延長する連続的進化と位置づけられる。本スタジオでは、このような進化する建築を可能にする現代的ツールとしてコンピューターを活用する。それは単なる表現手段ではなく、単純なパラメーターが重なり合うことによって現れる複雑な秩序を形として生成させるためのツールであり、21世紀のグローバル化された複雑な社会で築かれる建築に不可欠な手段である。ここでは、コンピューターに代表されるこのような手続き的手法によって創造性を発揮する「コンピュテーショナル・シンキング」を身につけることも重要である。

スタジオの進め方と指導体制
– 以上述べたような目的とねらいに向けて、スタジオは、以下の3段階のフェーズを積み重ねるかたちで進められる。(各フェーズの内容とスケジュールは課題概要を参照)
Phase 1: コンピューターの基礎的技術の習得と、モフォロジー(形態論)の探究
Phase 2: 重力、構造、環境、材料など、建築の外的条件への適合
Phase 3: 適合モデルの特定コンテクスト、プログラム的要求への応用
– スタジオは、隈と小渕による総括のもと、コンピュテーショナル・デザイン分野の3人の講師と歴史/構造/環境/材料系の各教員 によって運営されるユニット制で行われる。学生は各ユニットに分かれた後、グループ単位で課題に当たる。各ユニットには講師の他、助教とTAが担当して学生をサポートする。
– 毎週一回、歴史/構造/環境/材料系の各教員も参加したピンナップ形式のミニ講評会を行う。
– 特にPhase 1においては、コンピューター技術を集中して習得するためのサポートスタッフが参加し、指導を行う。

課題概要

モフォロジーのテーマ(Phase 1, Phase2): 生態系のかたち
Phase1では、コンピューター技術の習得と並行して、自然界に存在する形の生成原理を学ぶため、生態系のかたち、すなわち生命が環境に適合するために発現するかたちに注目してパラメーターを抽出し、それを操作することによって形が現れることを理解する。より具体的なテーマは、各ユニットごとにマスターが指定する。
歴史/構造/環境/材料系教員の本出題に向けた講義も行われる。

Phase2では、Phase1で見出された形を建築に応用する方法について考える。

設計課題(Phase 3): Envelope エンベロープ
Phase3では、Phase1とPhase2で探究した形態原理を、エンベロープ(外被)というテーマのもとで建築化する。phase3では原則として敷地やプログラムなどの建築条件を設定し、構造的、環境的、材料的、あるいは敷地の歴史的側面など、さまざまな要因を考慮してデザインする。その際、単に生態系の形態原理を拡大、あるいは多量化するのではなく、個別の状況に応じて多様化=進化できる戦略を考えること。

スケジュール (変更される場合があるので情報に注意すること)

曜日 毎週火曜日・木曜日
時間 13:30 –
場所 製図室(火曜日)、多目的演習室(木曜日)、ただし初回(4/11)は3階講評室

Phase 1: コンピューターの基礎的技術の習得と、モーフォロジーの探究(4週間)
4/11(木)      14:00-    課題説明、ユニット講師のプレゼンテーション(3階講評室)
4/16(火)-4/25(木) 13:30-    エスキス(毎週木曜はエスキス前にピンナップを行う)
15:30-18:30 Rhino/Grasshopper(コンピューターソフトウェア)集中トレーニング
4/30(火)-5/ 2(木)  13:30-    エスキス(毎週木曜はエスキス前にピンナップを行う)
Phase 2: 重力、構造、環境、材料など建築の外的条件への適合(2.5週間)
4/30(火)-5/23(木) 13:30-    エスキス(毎週木曜はエスキス前にピンナップを行う)
5/28(火)            中間講評(共通・講評室)
phase 3: 適合モデルの特定コンテクスト、プログラム的要求への応用(5週間)
5/30(木)-6/27(木) 13:30-   エスキス(毎週木曜はエスキス前にピンナップを行う)
7/ 2(火)            提出・ポスターセッション(共通・多目的演習室)
7/ 9(火)            最終講評(共通・講評室)

Leave a Reply