unit 2013

講師:市川創太
Teaching Assistant:伊藤雄太

<ユニットのテーマ:群>
「群」れは、「アリが巣を作る、ムクドリの群飛行(群知能)」、「細胞の集まりが生物であること(生命現象)」、といったように生態のさまざまなスケールにおいて観察することができ、興味深い現象が多くあります。「群」れはAdaptivityがそのまま現象になったものと言えます。複数の個体(エージェント)が集まって動作する枠組を、MASマルチエージェントシステムと呼ますが(CA セル・オートマトンも含むと考えます)、少数のエージェントでは総和としてでしが起らない現象が、「群」として相互作用しあった結果、総和以上の創発現象が起こすことが特に興味深いといえるでしょう。「新種生物の突然の発生(進化論)」あるいは、生態においてだけでなく「物質の凍結(相転移現象)」、「市場におけるバブルの発生(経済学)」のような要素に還元できない現象も同じ種類のものとして観測することが出来ます。
このMASは、経済現象、都市交通/物流、人の流れ/避難誘導、文化や伝染病の伝播、生態系、生物の群れの動きなどと相性がよく、これらの現象をシミュレートするのに用いられ、建築計画では避難計画などに用いられることが多いようです。しかしながら、まだMASによって形態自体が決定されて出来上がった建築はそれほど多くありません。建築物自体もたくさんの部品が集まった「群」、であるという見方もできるでしょう。それらの部位・部品をエージェントに見立てます。各部位がエージェントとして作用して成り立っているネットワークとして建築物・構造を捉え、スタジオ課題のミッションに挑みます。
<進行>
Studio::Phase 1: コンピューターの基礎的技術の習得と、モフォロジー(形態論)の探究
Studio::Phase 2: 重力、構造、環境、材料など、建築の外的条件への適合
群についてのリサーチ:
生態における群生、群行動について興味深い現象について、文献や図版、映像などを収集、系統化し、カタログ化する。数理モデルになっているもの、出来ていないものなどをリサーチする。モデルの問題点なども同様に調べる。

プログラミングの基本講習1 コードを書く:
GhPythonについて
Pythonについて
rhinoscriptsyntaxについて
Rhino.Geometryについて
スクリプトでモデルを生成する基礎練習。
オブジェクト指向プログラミングを通して、群れを表現する。

プログラミングの基本講習2 コードを読む:
サンプルソースなどをリサーチ取得し、大まかにコードを読む。数理モデルになっている現象をプログラミングによって表現する。

問題設定をスタディ、検討:
「群」が向かうもの、目指すもの、を建築物(エンベロープ)の目的に置き換えられるか、設定できるかを検討する。

Studio::Phase 3: 適合モデルの特定コンテクスト、プログラム的要求への応用
問題設定をスタディ、検討:
目的に近づく、目的を達成する為の局所・全体 条件 を考える。
独自の評価方法(評価関数)を検討・設計する

アウトプット:
評価関数を実装しスクリプトで生成された形態をレンダリングし、プレゼンテーションする。
<製作スキルの方針>
モデリング、製図はスタジオ全体共通Rhinocerosをプラットホームに進めます。
本ユニットでの開発はGrassHopper + GhPythonに特化して進めます。殆どをPythonでコード書いて表現できるように努めます。コードを書くことに関しては、初歩的なことから講習する予定。やる気さえあれば未経験者でも受け入れます。

ユニットに来てほしい人:
論理思考は得意なほうだが、GHのGUIになかなか慣れない人。
GHのちょっと違った使い方をやってみたい人。
マルチ・エージェント・システム MASに興味がある人

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